学校生活の様子

『平和を見つめ直して』(郡山市中学生長崎派遣「2016ナガサキへのメッセージ」報告書より)

公開日
2016/12/14
更新日
2016/12/14

その他

 先日、学校に『郡山市中学生長崎派遣「2016 ナガサキへのメッセージ」報告書』が届きました。この長崎派遣には市内中学校29校の各代表1名の29名の子どもたちが参加し、8月7日(日)〜10日(水)の3泊4日の日程で研修を行い、11月26日(土)に郡山市役所に於いて事業報告会を行った後、報告書を作成しました。
 本校からは秋山さん(2年女子)が参加しました。以下に秋山さんの報告書を掲載致しますので、この機会にお子さんと一緒に平和の尊さや核兵器廃絶の必要性について話し合っていただきたいと思います。
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   平和を見つめ直して
              郡山市立郡山第一中学校2年 秋山

1 はじめに
 2年前、私は家族と広島を訪れ、原爆の恐ろしさや戦争の悲惨さについて詳しく学んだ。初めて見る世界に、私は強い衝撃を受けた。それと同時に、もう1つの被爆地である長崎にも自分の足で行き、当時の長崎の様子や復興への歩み、広島との違いについて学び、現地の人々と交流したいと思った。そして、戦争を知らない私たちが、これからの未来をどう築くかを考えるよい機会にしたいと思い、今回の長崎派遣事業への参加を決意した。

2 研修の実際
 初めて訪れた長崎は、71年前に原爆が投下されたとは想像できないほど自然豊かで、海や山に囲まれる美しい町並だった。
(1)如己堂・永井隆記念館
 如己堂・永井隆記念館では、自分自身が被爆し、大けがを負いながらも懸命に救護活動を行った、医師の永井隆博士の生涯について詳しく学んだ。
 「如己愛人」これは永井博士が人生の指針としていた言葉である。意味は”己のごとく隣人を愛せよ”で、如己堂もこの言葉にちなんで名付けられた。この言葉には、どんな人に対しても優しく接して、自分と同じくらい大切にしなさい、という永井博士の思いが込められているのではないかと考えた。そしてこの言葉どおり、博士は患者の治療に率先して取り組み、その思いを遂げたのだと思う。被爆で重傷を負い、何度か意識を失いながらも治療をし続けた永井博士の思いの強さに驚いた。今の私にはとうてい真似することはできない。しかし、いつか私も永井博士のように、全力で人のために何かをできるような人間になりたいと強く思った。
(2)長崎原爆資料館
 原爆資料館には、原爆投下直後の長崎の様子や全身やけどの少女、救護病院の病室などの写真が数多く展示してあり、原爆の威力が一目で分かった。特に、全身やけどの少女の写真は、鳥肌が立つほど見るに堪えないもので、原爆による熱線のすさまじさを身にしみて感じた。
 また、写真以外の展示物の中には、長崎に落とされた原子爆弾である「ファットマン」の模型もあった。ソフトボールくらいの大きさの塊が、一瞬にして多くの人々の尊い命を奪ったことに衝撃を受け、言葉も出なかった。そして、たくさんの犠牲者を出しながらも、今なお多くの核兵器が存在すること、それにより命を奪われていく人がいる惨状がいつ現実となってもおかしくないことが、とても悲しかった。これ以上、人の命を無駄にして何の意味があるのだろうか。私たち人間は、もっと命の重みについて考え直さなければならない。そして私たち日本人には、世界で唯一の被爆国の人間として、世界に平和の尊さを伝え続ける義務があると思う。
(3)平和記念式典(長崎ブリックホール)
 8月9日に行われた平和記念式典は、長崎ブリックホールでの参加となった。約1時間行われた式典は、被爆者合唱「もう二度と」から始まり、安倍総理をはじめとする方々の式辞、平和への誓いなどが行われ、原爆投下時刻の11時2分には平和の鐘が鳴らされ、黙とうを捧げた。私は、この鐘の音と共に、今長崎から送られている平和への強い思いが、日本だけでなく、世界中の人々の心に響くことを願った。
 一人ひとりの心の中に、安全で平和な未来を思う気持ちが芽生えてほしい。そうすれば、核兵器廃絶、そして恒久平和へ大きく一歩を踏み出せるのではないだろうか。

3 心に残った風景
 これは、平和公園内にある平記念像である。右手は原爆の恐ろしさ、左手が人々に向けての平和への呼びかけ、両足が静と動、つまり原爆投下直後の長崎の静けさと救った命、軽く閉じられた目は、犠牲者への冥福が祈られている。この5つの意味、そして多くの願いが込められた平和祈念像は、二度としてはならない、そしてあの日の惨状をもう一度目にすることがないよう、世界中の一人ひとりが相手を思いやる気持ちや平和への思いを大切にしなさいと私たちに訴えかけているのではないだろうか。また、何気なく暮らしている現在がどれだけ幸せなことなのか、そのありがたみを私たちに物語っているようにも感じられた。
 世界には、戦争や紛争のせいで、私が当たり前だと思っていることが当たり前にできない人々がたくさんいる。自分が何不自由なく生きていけることを当たり前だと思ってはいけない。むしろ、その生活ができることに感謝しなければならない。そして、自分の幸せを再確認したうえで、この平和な暮らしが世界中に広まるようになることを心から願う。

4 研修を振り返って
 今回の4日間の研修で学んだ内容や、共に参加した友達と過ごした時間は、私の中でとても貴重な体験となった。研修全体を通し、改めて平和の大切さや戦争、原爆の恐ろしさなどについて知ることができたと共に、今まで知らなかった長崎の歴史や文化にも、たくさん触れることができた。研修中の1つひとつの出来事が、私の心と頭の中に刻みこまれた。私は、何があっても、戦争は二度と繰り返してはならないと思う。日本は今戦争をしていないが、いつか危険が近づいてくるかもしれない。しかし、これ以上人の命を無駄にすることは絶対にあってはならないし、戦争をすることを許してはいけない。日本は世界でたった1つの被爆国として、世界に平和の尊さを発信し続ける義務がある。
 今回学んだことを心に留め、核兵器廃絶や恒久平和について、まずは家族や友達などの身近な人に伝えていきたいと思う。また、研修で得た知識をこれからの生活、そして未来に役立てていき、1人でも多くの人に平和の尊さが伝わり、安全でみんなが幸せに生活できる世の中の実現に、私も貢献して生きていきたい。
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