社会科的な視点で考える新型コロナウィルス
- 公開日
- 2020/04/30
- 更新日
- 2020/04/30
行事風景
新型コロナウィルスの流行に伴って突如脚光を浴びた「アマビエ」(写真は京都大学附属図書館収蔵資料より引用)。「アマビエ」は、日本で昔から、天災の前などに現れたとされる妖怪で、江戸時代にかわら版として紹介されたそうです。
人々の歴史は実は感染症との戦いの歴史でもあるのです。
奈良時代には「天然痘」の流行で政治が混乱。遷都をくり返す要因にもなっています。また、江戸時代には「コレラ」の流行が攘夷運動の激化の一因にも…。さらに世界に目を向けるとモンゴル帝国の拡大で、東西交流が活発になった結果ヨーロッパで「ペスト」が流行し、ヨーロッパの人口が3分の1〜3分の2減少。第1次世界大戦時には「インフルエンザ」が流行し第一次世界大戦で亡くなった人(1467万人)よりもインフルエンザで亡くなった人(2000万人〜4500万人)の方が多い・・・といったように歴史に大きく関わっているのです。
さて、今回のコロナウィルスの流行をただ傍観するのではなく、前述のように歴史的な視点で調べてみたり、世界の感染状況を見て、国の名前や首都の名前、宗教、国と国とのつながりなど地理的な視点で調べてみたり、政府や地方公共団体の対策を見て「こういう政策があれば今の状況が改善するのに…」とか、「この国難の中でどこにお金が流れているのか?どんな企業の株を買ったら儲かるか?」などと公民的な視点で考えたりすると、普段の授業では中々深められない社会的な思考が養われると思います。また、班別活動での話し合いはできなくても、家族と話し合うことでむしろ幅広い年代からの意見を学ぶことができ、社会科的な視点の広がりも期待できます。
ちなみに、「アマビエ」の他に、疫病退散の絵(御札)として「加藤清正の手形」「金太郎」「鍾馗様(作:葛飾北斎)」などもあります。