勝手にビブリオバトル その40
- 公開日
- 2021/03/04
- 更新日
- 2021/03/04
行事風景
3月に入り、いよいよ3年生は卒業の時期を迎えます。
特に今年の卒業生は、コロナ禍での1年間ということもあり、多くの学校行事が中止になったり、規模を縮小したりするなど我慢の1年であったと思います。
人生を長い目で見ると、この1年間の我慢は、きっと卒業生にとってプラスになっていくのではないかと思います。
今回紹介する本は、百田尚樹著:「海賊とよばれた男」です。
本作品は、石油関連の企業である出光興産株式会社の創業者である出光佐三がモデルとなっており、映画化や漫画化もされています。
昭和初期、石油の将来性に目をつけた主人公、国岡鐵造は石油卸売りの販路拡大を狙うため、縄張り争いの激しい同業者の協定をかいくぐり海上での販売をします。商品の石油を船に積み込み、颯爽と海に漕ぎ出す姿から彼は同業者から海賊とまで言われる存在でした。また、大戦前には、寒冷な満州でも使用可能な機械油を販売するなど順調に商売を進めるも大戦で日本の主要都市は焼け野原となってしまいます。
本社屋は奇跡的に残ったものの、多くの従業員を戦地で失い、販売する石油も輸入されず、さらに同業者から敵視されていた国岡商店は、日本国内の石油販売から完全に閉め出されてしまいます。
数多くの困難、GHQや国内の同業者、アメリカの石油メジャーからの無理難題にも耐え、克服しながら日本の石油産業を代表する企業に成長していくのです。
信念を持ち、目の前の困難を着実に克服する努力を続ければ、それを認め、支援してくれる仲間が必ず出てきます。心が熱くなるおすすめの1冊です。