勝手にビブリオバトル その38
- 公開日
- 2021/02/16
- 更新日
- 2021/02/16
行事風景
過日、節分が124年ぶりに2月2日になったと話題になりました。調べてみると、昭和59年には、2月4日ということもあったようです(中学校の時にこんな事あったかなぁ・・・)。
さて、今回紹介するのは、冲方丁著:「天地明察」です。
コペルニクスの地動説が日本に紹介されていなかった時代、天体を観察し日本独自の暦(カレンダー)を作り出そうとした渋川春海(江戸時代の囲碁の棋士、安井算哲の子)の半生をモデルにした作品。当時の暦は、唐よりもたらされたもので、かなりの誤差のあるものでした。主人公が度重なる失敗や妨害を乗り越えながら日本初の国産暦(貞享暦)を作り上げ、江戸幕府の初代天文方(天体運行・暦の研究機関)に任命されるというストーリーです。
今のカレンダーと比べると誤差はありますが、それでもコンピュータのない時代に、社会科で勉強した緯度・経度や時差、理科で勉強した太陽や星の動きなどから、計算式を導き出し暦を作り上げるということを想像すれば、どれだけの苦労があったのかが分かると思います。世の中の事や物の成り立ちには、人々のトライ&エラーの歴史があり、諦めなかったからこそ、それらが存在しているということを感じ取ることができる作品です。