勝手にビブリオバトル その20
- 公開日
- 2020/08/28
- 更新日
- 2020/08/28
行事風景
毎年、夏休みには戦争に関わる本を読んだり、映画、DVD、ドラマを観るようにしています。今年もNHKでは、「マンゴーの樹の下で」「太陽の子」という特別ドラマが放映されました。また、インターネットでも特攻隊員の遺書も特集されて戦後75年という歴史の流れを実感することが出来ました。
さて、今回は岩波文庫より出版されている「きけ わだつみのこえ」を紹介します。
本作品は、第二次世界大戦末期に戦没した学徒兵の遺書を集めた遺稿集です。彼らが何を思い戦地に赴き、日本の将来、そして残していく家族を真剣に考えて命を散らしていったのかを感じ取ることが出来ます。
現在の日本は、彼らが願った日本になっているのか?改めて考えさせられた特別な夏になった気がします。
最後に今年の夏、インターネットで取り上げられた学徒兵の遺書を紹介します。
「18歳回天特攻隊員の遺書」
お母さん、私は後3時間で祖国のために散っていきます。胸は日本晴れ。
本当ですよお母さん。少しも恐くない。しかしね、時間があったので考えてみましたら、少し寂しくなってきました。
それは、今日私が戦死した通知が届く。お父さんは男だから分かっていただけると思います。が、お母さん。お母さんは女だから、優しいから、涙が出るのではありませんか。弟や妹たちも兄ちゃんが死んだといって寂しく思うでしょうね。お母さん。
こんなことを考えてみましたら、私も人の子、やはり寂しい。しかしお母さん。考えてみてください。今日私が特攻隊で行かなければどうなると思いますか。戦争はこの日本本土まで迫って、この世の中で一番好きだった母さんが死なれるから私が行くのですよ。母さん。
今日私が特攻隊で行かなければ、年をとられたお父さんまで銃をとるようになりますよ。だからね。お母さん。今日私が戦死したからといってどうか涙だけは耐えてくださいね。でもやっぱりだめだろうな。お母さんは優しい人だったから。お母さん。私はどんな敵だって怖くはありません。私が一番怖いのはお母さんの涙です。