学校生活の様子

勝手にビブリオバトル その10

公開日
2020/05/25
更新日
2020/05/25

行事風景

 こんなふうに本の紹介をしているので、生徒のみなさんは「小さい頃から読書好きなんだろう。」と思われるかもしれませんが、みんなと同じ中学校の頃の愛読書?は「少年ジャンプ」、読書感想文の課題が出されると、目次やあとがきからヒントをもらって、一部分だけ読み「自分が特に印象に残っているところは・・・」というように書いて手抜きをする。そんなどこにもいる?中学生でした。
 しかし、原作:武田鉄矢、作画:小山ゆうによる歴史漫画「おーい竜馬」を読んで、そこから“坂本竜馬”、歴史小説にすっかりはまり、それが今の職業の土台にもなっているような気がします。

 今回紹介する本は、司馬遼太郎著『竜馬がゆく』です。
 小さい頃に勉強ができなくて塾の先生に見放され、いつまでも寝小便たれがなおらず、剣だけは免許皆伝の腕となったものの、大人になってもご飯を食べるときにはボロボロとこぼし、話に熱中すると、羽織の‘ふさ’を口に入れて噛み、もっと夢中になるとよだれでベチャベチャになったその‘ふさ’を振り回す。そんなクセの強い人物が、世の中を大きく変えた。

 本作品は、お金で武士の身分を買った裕福な商人(武士としては低い身分)、‘才谷屋’の子どもとして生まれた、落ちこぼれの“竜馬”が、江戸に遊学する青年期から始まります。
 武士の武力による世直し、武力による夷狄への対応、武力倒幕を唱える多くの志士が凶刃の中で流した血、自分の藩を第一とする幕末の世。このような混沌とした中で、もどかしい思いを抱えながらも“竜馬”だけが‘日本人’として殖産興業し、夷狄に立ち向かうべきという立場をとる。当時のアジア諸国が、国の内乱や政府の疲弊につけ込まれ、欧米諸国の侵略をうけていることを知った“竜馬”は、敵対していた薩摩藩と長州藩の同盟を仲介し、倒幕を実現するも、新しい時代の幕開け、夢の実現を前に凶刃に倒れてしまう・・・。
 「世の人は 我を何とも言わば言え 我がなすことは 我のみぞ知る」最期まで自分を貫き通す姿に、きっとみなさんも魅了されることと思います。

 2,3年生の休業中のレポート「今の国難を乗り切れる歴史上の人物は誰か?」でも何人か“坂本竜馬”をあげていました。江戸幕末に流行したコロリ(コレラ)によって世の中が大きく変わっていった時代と、コロナ禍で混沌とする現在の日本がなんとなく重なるような気もします。本校の図書室にもありますので、現代の“坂本竜馬”になれる人物は果たして誰なのか?そんな思いをめぐらしながら本作品を読んでみるのも良いと思います。