勝手にビブリオバトル その8
- 公開日
- 2020/05/15
- 更新日
- 2020/05/15
行事風景
縄文時代から弥生時代に変わったのはいつなのか?どうやって縄文時代から弥生時代には変わっていったのか?社会科の教科書では、「縄文土器から弥生土器に変わっていった。」とか、「狩猟・採集中心の生活から農耕・牧畜中心の生活に変わっていった。」「石器から青銅器・鉄器に変わっていった。」ぐらいでしか記されていません。マスメディアや情報ツールのなかったこの時代、平成から令和に変わったときのように「今日から令和元年」という明確な切り替えはありませんでした。少しずつ、そして着実に西日本から東日本へと弥生時代に移り変わっていったのです。
そのため、日本国内には弥生人と縄文人が同居し交流している。また、それぞれの立場や生活を守るために、この森の先は(この川の先は)立ち入ってはならない場所として交流を絶っているといった状況が考えられます。当然文化も違えば、言葉も違う。そんな縄文人と弥生人が恋に落ちたら…。
次におすすめしたい作品は、荻原浩著「二千七百の夏と冬」です。本作品の舞台は、東日本大震災後に北関東で行われた遺跡の発掘現場から始まります。“ヒスイ”のアクセサリーとともに縄文人的特徴をもった10代男性の化石が発見される。発掘が進む中で彼の手には稲の化石が握りしめられ、さらに彼に向かい合い、手をつなぎ、寄り添うような形で横たわる、弥生人的特徴をもった女性の化石が発見される。この人骨の化石が語る真相を連載企画にしようとする女性新聞記者と大学の准教授が、歴史のミッシングリンクともいえるこの謎を紐解いていく。
誰も見たことのない、縄文時代の弥生時代の狭間となるこの時代。作者のイマジネーション、言語表現は、リアルさの中にユニークさもかねそろえて飽きることなく小説の世界に入り込めます。堅苦しい歴史小説は苦手だけれども、恋愛小説は好きという生徒にもすんなりと感情移入ができる作品です。高瀬中学校図書館に先日入庫したばかりの作品、改めて読み直したいので、現在一番乗りで借りてしまっています。来週には返却しますのでしばらくお待ちください。