勝手にビブリオバトル その5
- 公開日
- 2020/05/12
- 更新日
- 2020/05/12
行事風景
今回、私がオススメする本は「塩の街」です。この本は、先日図書室からご紹介した「図書館戦争」の作者有川浩さんのデビュー作です。
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代のお話です。塩が街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていました。その崩壊寸前の東京で暮らす桜庭と真奈の前に、様々な人が現れ、そして消えていってしまいます。しかし、「世界とか、救ってみたくない?」とそそのかすように囁く者が運命を連れて現れます。さて、二人の運命は、世界の運命は、
この本では、人が塩の塊になり崩れてしまうという、謎の現象が描かれています。この現象の原因は後に判明し、桜庭がターゲットを破壊することでこの現象の解決方法が見つかります。桜庭は、大切な人を守るためにただ一人で危険な任務に赴きます。謎の現象が世界を蝕み社会を崩壊しようとしているところは、現在の新型コロナウイルスに近いのではないかと感じました。ただし、私たちの置かれている状況は本の中とは違い、原因も解決方法もまだ確立されていません。しかし、大切人を守るために、誰かが危険を顧みず危険な任務に赴くなど、現在の状況と似ている場面も見られます。誰かに任せるのではなく、自分達で出来ることはなにか、解決方法はないかなど、模索しながら読むことができる作品だと思います。
余談ですが、「塩の街」の他に、「空の中」、「海の底」という本もあり、この三冊は陸海空自衛隊三部作と呼ばれています。有川浩さんは自衛隊で取材を行い作品を書いています。実は「図書館戦争」もこの取材をもとに書かれているので、あれだけリアルに描写することが出来ているのですね。興味のある方は、有川浩さんの作品を読んでみてください。