勝手にビブリオバトル その3
- 公開日
- 2020/05/08
- 更新日
- 2020/05/08
行事風景
自分が次におすすめしたい高瀬中学校図書館の本は、高橋克彦著 『火怨 北の耀星アテルイ』です。
この作品は、平安時代初期の東北地方を舞台にした坂上田村麻呂とアテルイの戦いを、アテルイ・蝦夷の視点から描いています。
歴史の教科書は、というか人類の歴史は、勝者の歴史でもあり、強者の歴史がいかにも正しい歴史であるかのように伝わっているケースもあります。
例えば、この作品の“阿弖流為(アテルイ)”は歴史の教科書では、当時(平安時代初期)東北地方に勢力を広げた蝦夷が朝廷の勢力拡大に抵抗して、“坂上田村麻呂”率いる朝廷軍に敗れるといった内容がコラムで紹介されており、抵抗したアテルイが悪、東北地方を平定した坂上田村麻呂が正義のような印象を受けます。
また、高瀬中学校のホームページで別に紹介した“明智光秀”も“織田信長”を裏切った悪としてのイメージが強かったり、明治維新では幕府側について戦った藩や人物がいかにも時代が読めない藩や人物であるかのように伝わってしまっています。
さて、この 『火怨 北の耀星アテルイ』のあらすじですが…、
平安時代初期、当時東北地方に住んでいた人々(蝦夷)の族長“阿弖流為”と、彼とともに戦い、いくつもの奇跡を起こす天才軍師“母礼”と仲間たちが、東北地方の“金”を我が物にするため侵略する朝廷軍を英知と勇気と情熱を持って退け続ける。
さらに、“阿弖流為”をライバルと認め、戦を挑む征夷大将軍の“坂上田村麻呂”との敵・味方を超越した関係と数度にわたる戦の様子…。
東北地方に生まれた人間には絶対に読んでほしい作品です。