子どもとのかかわり
- 公開日
- 2017/10/25
- 更新日
- 2017/10/25
桑野小の今
わたしはひろがる
岸 武雄
わたしは小さい時、
おやつのお菓子が弟より大きくないとおこった
じだんだふんで、泣いたこともある
わたしが世界の全てであった
やがてわたしは、弟もわたしと同じように
大きいお菓子をほしがっていることが、わかってきた
わたしはけんかしながらも、
同じようにわけることをおぼえた
ときには、弟があまりうまそうに食べるので、
自分の分も分けてやった
弟といっしょにお菓子を食べると、
お菓子の分量はへったが、なんとなく楽しい
こうしてわたしの中に弟がはいってきた
おかあさんがどんなに忙しそうに働いていても、
わたしは平気だった
おかあさんは、ああいうものだと考えていた
やがてわたしは、「おかあさん手伝おうか」と
言えるようになった
おかあさんと仕事をすると、なんとなく楽しい
こうして、わたしの中へおかあさんが入ってきた
東北大学の元学長であった加藤睦雄先生は、「わたしの最初の記憶は満4歳の時にはじまる。私は庭でアリの巣を見つけ、それで遊んでいた。近所で新築工事をしていたので、大工さんから木の切れ端をもらいアリの巣を囲った。やがて日が暮れ、自分は床に入ったが、囲いの中のアリがどうしても心配で眠れない。ゴロンゴロンしていると、母親が、『どうしたの?』と聞くので、『アリのことが心配で』と言うと、母親は手に明かりを持って『おきていっしょにアリを見に行こう』と言って雨戸をあけ、庭へおりて一緒にアリを見た。アリは静かにしていた。明かりを手にして『アリを見に行こう』と言った母の立つ姿がいまでも目に残っている。」と書いています。
加藤先生の兄弟は4人とも理学博士でした。両親の育て方がやがて自分の頭でモノを考える人を育てたのではないでしょうか。
私たちは、子どものできることよりも、できないことに気をとられがちです。何ができないかよりも、何ができるかに関心を持ち、子どもが自分自身をよりよく生かせる方向を子どもと共に考え、子どもに関わっていくことが大切ではないかと私は考えます。