『キオクがない！』いとうみく/作（文研出版）

白い。目が覚めたとき最初に目に映ったのは天井の白だった。「わかりますか？」医者らしきおじさんが言った。「名前、言えるかな」名前は・・・、うまくことばが繋がらない。・・・僕は、誰だ？

交通事故にあい、４日間意識がなかった僕。ようやく目が覚めたが、記憶を失っていた。自分が誰だかわからない。家族も友だちも、僕の中にあったはずの、14年分のいろいろなものが、まるで思いだせない。無事に退院し、自宅へ帰ってきた僕。しかし、両親はやけに気をつかい、弟には避けられ、クラスメイトたちは目をそらす。

記憶を失う前の自分は、いったいどんなやつだったんだ！？

まちがっても、また顔を上げて前へ進めますように。心にじんわりしみる、希望の物語。

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