『スラムに水は流れない』ヴァルシャ・バジャージ/著（あすなろ書房）

主人公は、インドの12歳の少女、ミンニ。小さな家が折り重なるようにびっしりと建つスラムに、父さん、母さん、兄のサンジャイと、４人で暮らしている。ミンニの家に、水道はない。家の外に近所の人たちといっしょに使う蛇口があり、それも朝２時間、夕方１時間しか水は出ない。どの家も大きなタンクに１日分の水をためて使っている。父さんはチャイの店をやっており、母さんはりっぱな高層マンションに住むお金持ちの奥さまの使用人として毎日料理やそうじをして、はたらきづめ。それでも、家族４人、幸せに暮らしていた。あの日までは。

サンジャイが闇の世界の秘密を知ってしまい、身を隠すために遠くの農場へ行き、さらに母さんが病気になり、田舎へ帰ってしまう。残されたミンニは、母さんに代わって学校帰りにお金持ちの奥さまの使用人として働くことになる・・！これが、大人になるということ？打ちのめされるミンニだったが、勇敢になろう、と顔を上げる。

“あなたはひとりじゃない。あなたは勇気がある”

ドキドキの展開、力強い希望に満ちたラスト。読書感想文コンクールの課題図書、３冊目です。あなたの世界を広げる、物語。