勝手にビブリオバトル その7
- 公開日
- 2020/05/13
- 更新日
- 2020/05/13
行事風景
次に紹介したい作品は、真保裕一著『栄光なき凱旋』です。
高瀬中学校に赴任して初めて手に取った本がこの本です。
本作品を一言で説明するならば「日本が真珠湾攻撃をした後、日系アメリカ人はどのような人生を歩んだのか?」というストーリーです。
舞台は第二次世界大戦前後のアメリカと大戦中の戦場。
アメリカ本土、ハワイに移民として渡った日本人と日本を知らないアメリカで生まれ育った二世、第二次世界大戦の開戦と共に彼らは、同じ民族の日本人と戦わざるを得なくなる。しかし、アメリカ人からはスパイの疑いをかけられ、疎外される。私たちには想像できない価値観、環境、葛藤がリアルに描かれています。
真珠湾攻撃をきっかけに、日系2世の3人を中心にストーリーは展開していきます。読み終わった後の虚無感…。まさに、戦争は、何一つ残らないということ、二度と同じ過ちはくり返してはいけないということを強く感じる作品です。
新型コロナウィルスの世界的な拡大について各国の首脳が「世界大戦」という言葉を使っています。今人類が立ち向かわなければならないものは、ウィルスであって、どこの国が悪い、誰が悪い、誰の責任というものではありません。最前線で戦う医療従事者への差別なども報道されています。先日、本ホームページでも日本赤十字社の「ウィルスの次にやってくるもの」が紹介されましたが、今私たちにできることはウィルスという共通の敵に向かって共に団結し、恐怖を乗り越えることです。
人類は、絶望とも思われた先の第二次世界大戦をも乗り越えることができました。国と国の戦いもウィルスと人類の戦いもきっと乗り越えられます。
最前線で戦うことのできない自分自身でもやれることはきっとあるはず…、同じ過ちをくり返さないためにも歴史に目を向け、様々な視点から歴史を学んでほしいとこのように発信しているのもその一つです。
ようやく明日から分散登校が始まります。ぜひ、登校した際には手にとってほしい1冊です。