棟梁のこだわり
- 公開日
- 2009/11/19
- 更新日
- 2009/11/19
2学年
職業講和を「柳沼工匠」の棟梁 柳沼利保 様にしていただきました。
2年生は、総合的な学習の時間に進路学習に取り組んでいます。そして本日第1回目の職業講和を聞くことができました。講師として職場体験で4人の生徒がお世話になった柳沼工匠の代表であり、現在数少ない本物の棟梁の柳沼利保様に来ていただき素晴らしいお話をお聞きしました。
どんな場所にもさっそうと地下足袋(じかたび)姿で登場する、自信と誇りに満ちた素晴らしいお人柄でした。
完成した束の間の喜びや、注文してくれたお客さんから一言感謝の言葉を聞く喜びを味わうため、苦労しながら一生懸命頑張っています。
「人生というのは、ちょっとの楽しみ(真の喜び)を味わうために苦労や努力を積み重ねて行かなければならないものかもしれません。」と述べられました。
素晴らしい話の概要をすこしご紹介します。
高校入試の時に 挫折 を味わい進路に迷っていた時、近所に住む大工の親方に出会い弟子入りしたそうです。
はじめは何もさせてもらえす 大変悔しい思い をしたり、安い賃金で渡り職人として下積み生活をしたりして、いろいろな職人で出会いました。
素晴らしい技を持った人やそうでない人に出会いながら、内に秘めたライバル心や不屈の根性が芽生え、いつしか伝統の職人の技を身につけることができたようです。
はじめ自分の理想とする家造りの仕事に出合えず、意欲もあまり湧きませんでしたが、まだ若い柳沼さんに大きな転機が訪れました。
昭和62年に何と60坪の大邸宅の棟梁を任されたのです。
毎日毎日が、「家はだいじょうぶか?たおれていないか?」という不安の連続でしたが、逆に毎日毎日が新鮮で喜びに満ちていたそうです。
今なお柳沼さんの原点として、この二十数年前の60坪の入母屋造りの家の写真が、現在の柳沼さんの名刺の中に使われておりました。
無垢材へのこだわり、木材を少しも傷めない伝統の技へのこだわり、木のぬくもりが心も体も健康にしてくれる家づくりへのこだわり
50年も100年ももつ家造りへのこだわり… が始まりました。
こだわりぬいて建てた家だからこそ、完成した時の喜びはこの上もない喜びに満ちたものなのでしょう。
今では、大工になりたいという若者が柳沼さんを慕って弟子入りし、伝統の技やこだわりの家造りを丁寧に指導しています。
「金銭面では苦しいものの、自分の伝統の技を引き継いでくれる後継者という一生の財産を育てているという喜びに満ちた人生です。」と語ってくれました。
講演がおわったあと、樹齢400年以上もの超高級木材に触れさせてもらいました。
ヒノキやクスノキは部屋の片隅に置いただけでも木のいい香りが広がってきました。
また、今でも差金(金属の曲がり定規)と墨つぼだけで家を建てる部材を取ることができる。と実物も見せてくれました。
いまなら、こだわりの家づ造りの注文が入り、大工による本物の家造りを実際に見ることができるそうです。今も若い大工が作業場で仕入れた材木を眺め、下準備」をしているところだそうです。
将来、建築関係の仕事を目指したい人には喜んで見学させてくださるそうです。
ぜひ本物の家づくりに触れてみてはいかがでしょうか